研修情報
研修概要
臨床検査の基礎的知識から、臨床検査値を組み合わせて病態を読み取る知識と力を3段階のプロセスを通して身につける研修です。
対象者
- 製薬メーカー、CROで臨床開発に関わっている方、特にモニター(CRA)
- 医療機関で治験(臨床研究)に関わっている方、特にCRC
- 病棟薬剤師、専門薬剤師など検査値を見る必要がある薬剤師
目的
- ドクターと共により安全性を確保した治験を推進する
- 病態を正確に知り、被験薬を正しく評価する
目標
- 臨床検査値の解釈に自信が持てるようになる
目標達成後には、以下のような対応ができるようになります。
✔️ ドクターの臨床検査値の解釈が理解できるようになる
臨床検査値と病態の関連性を時系列で把握することができるため、ドクターの臨床検査値の解釈・意図が理解できるようになります。
✔️ 有害事象の多方面からの解釈
その上でCRAは、ドクターから「この有害事象は被験薬との因果関係が否定できない」と言われた時、いくつかの病態が頭に浮かび、病態を絞り込みために「これを確認してください」と提案することができるベース作りになります。
✔️ 減量基準や中止基準、AEや逸脱等の先読みも可能になる
臨床検査を読み取ることができると、減量基準や中止基準、AEや逸脱等に関して、病態と関連させて深く解釈をすることが可能となり、よりプロトコルを遵守した治験の実施が可能になります。
✔️ ドクターの信頼を得る
CRAあるいはCRCの立場として必要に応じて自分の解釈をドクターに伝え、ドクターの意見を聞くことができるようになり、ドクターの信頼を得ることができます。
✔️ リスクが高い被験者さんとしてアプローチできる
全身状態が悪いようであれば、被験者さんの適格性判断に影響が出たり、AE・SAEが起こる可能性は高くなります。より的確な被験者さんのエントリーを行い、その後の被験者さんの安全性確保のために、CRAあるいはCRCの立場としてアプローチすることができます。
✔️ 服薬指導時にも役に立つ
CRCは、臨床検査という事実に基づいて指導できます。
研修の種類とプロセス
第1段階
個々の臨床検査値の基礎的知識を取得する。
臨床検査の基礎講座
治験で出てくる臨床検査項目について、臨床的意義を中心に解説
対象
新人/担当して1~2年目
研修時間:2.5時間(変更可)
第2段階
いくつかの臨床検査値を組み合わせて病態を読み取る知識を身につける。
病態解析基礎講座
病態解析を行うための基礎的知識を中心に講義
対象
CRA、CRC、DM、薬剤師など臨床開発担当者/新人(基礎講座修了者)/中堅/ベテラン
研修時間:3時間(変更可)
第3段階
実際の症例から病態を読み取る力(病態解析力)を付ける。
症例を用いた病態解析
実践編
実際の症例を用いた症例検討ワークショップ
対象
CRA、CRC、DM、薬剤師など臨床開発担当者/新人(基礎講座修了者)/中堅/ベテラン
研修時間:1症例1.5時間(変更可)
各段階の研修を受けると次のようなことができるようになります。
第1段階 病態が推測できる!
個々の検査の臨床的意義を知り、値が高い/低い時の病態をいくつか推測できるようになる。
第2段階 病態が絞り込める!
いくつか臨床検査値を組み合わせて病態を絞り込むことができる。
第3段階 病態が読み解ける!
実際の症例データから病態を読み解く。取得した知識を実践で使うことによって、徐々に自信を深めることができる。
研修開発の背景
治験業務に携わる上で、臨床検査値は安全性・有効性の両面から切り離せないものであるにもかかわらず、臨床検査値の読み方を体系的に学ぶ時間と機会は、十分になかった方も多いのではないでしょうか。
治験において、臨床検査値を読み取るスキルは無くてはならないもので、被験薬の正当な評価、被験者さんの安全性の確保、また試験としての安全性データの質の確保にも繋がるため、必要不可欠なスキルと言えます。CRCもCRAも臨床検査値を読み取るスキルを取得することは、医師への問い合わせの質にも影響し、それは直ちにドクターとの信頼関係に直結します。
日本臨床検査医学会では、ドクターと臨床検査技師の病態解析力を向上させることに力を注いでいます。そこで蓄積された知識を治験(臨床研究)関係者に広めることができたなら、副作用・薬の評価が変わってくるのではないかと考えました。
そこで、本学会の会員でかつCROの元社員であった私が、本学会のドクターの協力を得て研修を作成することができました。この場を借りてドクターの皆様へ感謝申し上げます。